5月25日、黒人男性ジョージ・フロイドが8分46秒白人警官の膝に頚部を圧迫され死亡しました。そのビデオがソーシャルメディアで発信され、⿊⼈に対する警察の残虐⾏為に抗議するBlack Lives Matterの運動が⾼まり、その抗議活動は世界的に広がり継続しています。⿊⼈への⼈種差別や公⺠権運動について理解を深めるために、当会の役員有志4人によって行われた勉強会、多くの方が参加されました。

まず河野サキ会長が、1600年前半に奴隷船で連行・売買されて始まった米国における黒人の歴史について、解説しました。奴隷法、南北戦争と奴隷解放後も続く黒人への差別、隔離政策、1960年代の公民権運動、その後も繰り返し起こる黒人への暴力や殺人事件とプロテストなど、黒人に対する偏見と差別が、この国の歴史に絶えることなく続いてきていることを学びました。

次いて大下啓二氏が「私の目に映る黒人像」を述べた後、ウイリアムズまりが「黒人への差別と公民権運動を学ぶための資料」と題して、映画と書籍を紹介しました。最後に多くの黒人の友人を持つ河合順子氏が、自身および黒人男性を伴侶とする日本人女性友人からの話を「経験談」として述べました。

その後参加者からも、1950年代東海岸に留学した際黒人に対する隔離政策と差別を目の当たりにして驚愕したこと、1980年代初頭のオークランドでもまだバスの座席で白人と黒人が前後に分かれて座って戸惑いを感じたことなど、興味深い経験談が語られ、また活発な意見交換がなされました。

この抗議活動によりスポーツ界や企業等でも、人種差別是制や対応が少しずつ進む一方、8月23日ウイスコンシン州でまた白人警官が黒人に背後から7発発砲した事件とその後そのプロテストに向けて民間人が発砲し2人が死亡した事件も起こり、この問題は継続しています。ひまわり会でも、今回だけでなく、引き続き人種差別問題について考える機会を持ちたいと考えています。

ご参考のため、より深く理解するのに役立ちそうなお勧め映画の一部を下記に示します。

1.13th (2016) (邦題:13th −憲法修正第13条−)

合衆国憲法修正第13条(奴隷制廃止条項)の1文(通称抜け穴)をはじめとする法律、政治、大量投獄の関係性に踏み込み、黒人による公民権運動の結果廃止されたはずの奴隷制度が、現代もなお形を変えて残っていると指摘するドキュメンタリー映画。必見です。

2.John Lewis: Good Trouble (2020)

今年7月17日に80歳で亡くなった下院議員、ジョン・ルイスの60年余にわたる社会的活動と公民権、投票権、銃規制、医療制度改革、移民に関する立法措置を、インタビューと珍しいアーカイブ映像を用いて記録したドキュメンタリー映画。

3.Harriet (2019) (邦題:ハリエット)

メリーランド州の農園の奴隷として幼い頃から酷使されながらも、1849年脱走に成功し、隷解放運動に命をかけた黒人女性、ハリエット・タブマン(1822-1913)の激動の人生を描く伝記映画。

4.Selma (2014) (邦題:グローリー/明日への行進)

学生非暴力調整委員会ジョン・ルイス南部キリスト教指導者のDr.マーティン・ルーサー・キングJrなどにより先導された1965年3月のアラバマ州セルマから州都モンゴメリーへの行進を題材とし、キング博士が1965年の投票権法可決に導いた、公民権法後の参政権の取り組みを描いたドラマ。

5.Just Mercy (2019) (邦題:黒い司法 0%からの奇跡)

黒人への差別が根強い1980年代のアラバマ州で、冤罪の死刑囚たちのために奮闘する黒人弁護士の実話を映画化した人間ドラマ。無実の白人女性殺害容疑で死刑宣告された黒人男性の容疑を晴らそうとする過程を中心に、組織的な差別とそれに抗う姿が感動的に描かれている。

レポート: ウイリアムズまり