この国に腰を落ち着けて早三十余年になる。数年前、日本を除いてベトナムに二週間の旅をした以外、最近では他国に縁がない。但し祖国日本には年に一度里帰りがかなっているから、考えてみるとこれも立派な“海外”のそれと言えよう。
先に父、十二年前に母が逝ったが、向こうにはまだ妹弟が三人いて、平均四-五週間の滞在にもホテル住まいを余儀なくされることもなく、結構なことだと感謝している。
もう二昔も前になろうか、向こうで友人に会ったのがきっかけで、私の滞在中に高校の同窓会に参加する好機に恵まれ、当時完成なって間もない関空近くのホテルで恩師も数人出席いただき、450人近い卒業生中百人余の集まりで、それは賑やかな会であった。男女共学だったので、想いを寄せていた男性に当時流行言葉であったオバタリアンが胸の内を吐露してきたと顔を赤らめたり、逆に囁かれてと、まんざらでもない様子の人。そんなこともあれば母校の校長、同じく母校の体育の教師になった元生徒もあったりして、話が大いにはずんだ。数年前元国体の水泳の選手でもあった教師の訃報にも接した。
近年は同窓会も三年に一度となり、開催の季節もまちまちで出席もままならない。今秋も里帰りを11月中旬に予定しているが、実家が京都に近いので存分に紅葉を愛で、願わくば、ついでに台湾もしくは中国に行けたらなあと欲張っている。どこかにあったハッピーな人だけ集うクラス会、本当だろうか。
旅好