10月17日土曜日1時より2時半まで、ひまわり会ニュースレター、「シリーズ啓子の窓」でみなさんお馴染みのカリフォルニア大学バークレー校講師山中啓子さんをお迎えしての企画でした。1996年以来、次の世代の学びに長年携わって来られた山中講師のZOOM奮戦にひまわり会が関わったことは、2020年秋季号掲載「ZOOM授業の練習と本番」に詳しく書いてくださいました。その内容が、このオンラインセミナーへと引き継がれました。
今回のセミナーでは、過去の歴史を念頭に置き、カリフォルニア大学バークレー校の学生が描いた移民のオーラル•ヒストリーを基に、近年のアジア系移民の特徴と生活ぶりを概観し、アジア系移民のアメリカン•ドリームを考えるトピックとして、移民の歴史、差別と排除と対処する様々な法律などの解説がありました。その後、出稼ぎから定着へ移り変わりっていく過程(1850-1910:単身出稼ぎ、1910-1930:出稼ぎから定住、1930-1960:永住、移民から少数民族)を論じ、焦点を1965年移民法改正後の歴史背景に移して話が進められました。
ZOOM練習講習会で読んだ沢山のオーラルヒストリーから、このセミナーの為に 3つの例(フィリピン人女性・ベトナム人男性・インド人女性)が山中講師によって選ばれ、 3人の有志(河野さき子、春海三吾、ウイリアムズまり)が その概略と感想を発表しました。河野さき子さんが担当したのは、フィリピン出身の女性(南部レイテ島・1978年生まれ)のオーラル•ヒストリーで、その女性に12歳になるまで育ててもらった中国系の女子学生が書いたものでした。フィリピンは、1542年にスペインの植民地となり、1946年に独立国として宣言するまで、長年に渡りアメリカなど他国の統治下にあった国で、その後、独裁政権が横行しています。その女性は、首都マニラで住み込み女中として働いた後、ベイエリアに移住し、オーラル•ヒストリーを書いた学生の家族に家事と子守をこなすナニーとして雇われます。自分自身の幸せを求めて、デートサイトで出会った男性と結婚し、一児をもうけますが1年で離婚。生活を支える術もなくいくつかのシェルターで過ごした後、以前雇い主だった家族と再会します。このオーラル•ヒストリーは、 唯一自分の親について語らなかったもので、 インタビューは元の雇い主との再会後に行われました。
「アメリカンドリームって何だろう?」に加えて、知らなかったアジア系移民の歴史に触れ、アイデンティティについて考える機会となりました。ひまわり会が今まで培ってきた人間関係や社会的な関わりが在ってこのようなセミナーが持てた事をとても嬉しく思います。今回の講習会を含めひまわり会のオンラインセミナーは会員・非会員問わず無料でお届けしています。来年は、ひまわり会も創立50周年を迎えます。今後も、ひまわりの花が咲き、種がまかれ続けられるようにと願っています。
梁(りおんぐ)裕子