明けましてお目出度うございます。
 
今年は『明けまして』と云う言葉が特別の意味を持つ年になりそうです。今回の大統領選挙はアメリカの歴史に世紀の大変革をもたらしました。1960年代からアメリカの人種問題を目撃して来た世代にとってはアフリカ系の第44代アメリカ大統領をホワイトハウスに迎える事には感慨無量です。私がアメリカで初めて見たテレビのニュースはアメリカ南部で起きた人権問題で大学に入学希望の黒人の学生達を、白人の州兵が 銃で脅しているシーンでした。
 
ひまわり会はアメリカのメルティングポットの時代と云われた1970年代に多くの二世の方のサポートを得てオークランドで生れました。その頃のアメリカではメルテイングポットという、様々の食材をごっちゃ混ぜしてスープみたいな一品料理を作る様にアメリカに住む色々の人種や民族を出来るだけ混ぜ合わせて同化し一色のアメリカを作る事が奨励されました。
  
日本から来た私達も一日も早く良いアメリカ人となる為の努力をしました。バイリンガル教育はあまり盛んでなく英語をしっかり話す子供を育てる事に夢中でした。 色々の講習会を催しアメリカの法律や医療を学びました。日本人と他人種の間に生まれたハーフの課題も取り上げました。大勢の人のアメリカ市民権取得のお手伝いをしました。年に4回ニュースレターを発行し新しい法律や医療のインフォーメーションを日本語で伝える努力も重ねて来ました。数年の間バークレイのバートステーションでフリーマーケットを開き沢山の面白い出来事に出会い貴重な経験も得られました。今も続けている古本市はひまわり会の運営資金を得るだけではなく気楽に日本文化を楽しめる憩いの場としてイーストベイの日本人コミュニティーにすっかり根ずいて来ました。
 
この数十年の間にアメリカの社会はメルティングポットからサラダの時代へと変りました。色々の食材を混ぜてシチューのような一品料理を作るのではなく赤いトマトと緑のきゅうり、とそれぞれの素材の色と味を保ちながら盛り合わせて美しいサラダを作る、つまりそれぞれの人種や民族の文化を維持し、尊重し合って一つのアメリカを築く事を強調する時代に変りました。オバマ大統領はまさにサラダの主役です。でもここで又新しいチャレンジが生まれました。
 
冷蔵庫に余り色々の食材があると小さな目立たない食材はうっかりすると忘れられてしまう事があります。アメリカに住む日本人の立場がこの小さな食材になって来ています。日本人の数が少なく目立たない為に、無視され易く色々の日本語の資料やサービスが失われていきます。医療や法律の分野で母国語の通訳を提供する事が 決められて居ますが実情はそうではありません。医療やソーシャルセキュリティーに関するインフォメーションの日本語訳版は少なく電話帳のインフォメーションや運転免許の試験問題の日本語版も無くなってしまいました。その反面中国語、スペイン語、韓国語、ヴェトナム語等の資料が増えています。公の機関に問い合わせると日本人は数が少なく教育程度が高く皆英語に困らないからと云われます。けれど誰でも病気になったり年を取ると英語が思う様に話せなくなったりします。その上近頃は政府の大切なインフォーメーションも『これに関しての詳細はwww.へ』となりコンピューターを使わない人にはとても不親切です。 
 
ひまわり会ではこうしたインフォーメーションを出来るだけ日本語に訳し伝える努力をして行きます。又 機会あるごとに「日本語の資料を提供して下さい」と呼びかけて行くつもりです。
 
コンピューターの普及で人と人の繋がり方が変り、以前の様に一カ所に集まり語り合う機会は減りましたが「お互いに助け合い、ささやかながらもコミュニティーの役に立ちたい」というひまわり会の設立からのミッションを忘れずに一生懸命活動して行きたいと思います。