今年の初めからボランティアを始めている。エメリービルに新しいオフィスを構える日系ソーシャルサービス機関 J-sei のプログラムの一環だ。このことを人に話すと、いつも返ってくる反応は「えらいわねー。」である。勿論4分の1は無償の人助けであるが、4分の3は社会の少しでもお役に立ちたいという自分の欲求を満たすためでもある。

有給の仕事とは又別の「充実感」を味わえる。

具体的には二人の日系二世の方へ各月二回の家庭訪問である。一回に約一時間費やす。二人とも自宅に家族と住んでいる男性でとても高齢である。長いこと高齢者相手のソーシャルワーカーの仕事に従事していたので、シニアの抱える問題、現状等はよく理解しているつもりだ。ただし一時間じっくりとお話し相手になるというボランティアの役割は、ソーシャルワーカーの仕事と当然ながらかなり異なる。

一人の90台中頃の男性はこの1-2か月、特に病院から退院してから足腰が弱り、起き上がるのもままならない。彼とはいつも「世の中で何か起こっているのか。」という話をするのが通常であったが、ここ1か月は彼の希望で「人生の最終章―死」の話をしている。人間死んだらどうなるのか、死後はあるのか、いつもベッドの上で何を考えているのか、等々。とてもヘビーな話であるが、以前仕事をしていた時はなかなか出来なかったことだ。彼はいつも「自分はとても幸せだ。人生なんの悔いもない。」と笑みでいう。「又2週間後に。」と手を握って別れる。そして帰りの車の中で、いつも彼を自分に置き換えて、自分が彼の立場だったらどんな事を考えるだろうか、と思いに耽る。