「市民権」

Q) アメリカ生活もう40年近くなりますが、永住権のままで、まだこちらの市民権を取得していません。もう歳なので、今更「試験」を受けるということに何となく億劫で、先延ばしにしています。米国籍の主人と、息子もいるので、将来日本に帰るということはあまり選択肢には考えていませんが、

もしもこちらに骨をうずめるならやはり取るべきではないかとも考えています。ご意見をお聞かせ下さい。(70歳女性・O市在住)

 

A) まず市民権取得の試験とインタビューですが、これは他のいろいろな所謂「篩(ふる)い落とす試験」と違い、特にある程度の年齢に達すると項目も少なく、まず不合格を心配する必要はないでしょう。インタビューもアメリカに忠誠を誓うかどうかが基本的なところなので、難しい質問はされないと思います。又英語に不安がある場合でも、滞在年数、年齢によっては日本語の通訳をつけることも可能です。

市民権と永住権の大きな違いは、まず選挙権を与えられることと裁判の陪審員(Jury Duty)が義務付けられことです。あと一部の政府機関などの仕事に就く場合は市民権保持者に限られていることや、重罪を犯しても強制送還の対象にはなりません。又遺産相続の際に市民権保持者と永住権ではその税負担に違いが出てきます。

又逆にもしも将来日本に永住帰国される場合に、日本で外国人としていろいろな手続きが難しくなることも考えられます。二重国籍の問題はとても複雑ですが、日本の国籍法ではそれを認めていないので、外国の市民権を取得したと同時に日本の国籍を放棄したとみなされます。

市民権を取るか、永住権のまま残るかというのは、かなり個人的な選択で、20年前に帰化市民になった私個人の意見では、一番大きな違いは、その後その事をほとんど悩まなくなった(笑)ことではないでしょうか。具体的な手続き、試験インタビュー、法律的な詳細は移民局又弁護士事務所にお問い合わせ下さい。