今回は正しい情報が伝わらず、年金受給者の方が困惑されているテーマである米国外に滞在した場合の米国年金受給への影響について説明いたします。
最近問い合わせが目立つのが、日本帰国に際し、米国年金が引き続き支給されるかどうかソーシャルセキュリティー(SS)オフィスに問い合わせたところ、次のような回答であったが本当かというものです。具体的には、「日本でも継続して米国年金を受給できるが、6か月毎の米国入国が条件である」「米国を30日以上離れると米国籍者でない限り年金は支払われない」「米国年金は、米国籍があれば100%支給されるが、グリンカード保持者の場合は25%減額される」「米国籍者やグリンカード保持者以外には米国年金支給は支給されない」というものです。SFではチャイナタウンのSSオフィスでこの種の説明をする担当者がいるようです。こういったSSオフィスの回答はすべて間違いです。残念ながらこの様なSSオフィスのいい加減な対応は、全米に及んでいると思われ、しかも、かなり以前から繰り返されています。年金の受給資格を維持するため仕方なく米国籍を取得したと残念がる方に少なからずお会いしています。
さて、米国SSA(米国社会保障庁)は米国外滞在者に対する米国年金の支払いについて(What happens to your right to Social Security Payments when you are outside the United States)次の様に説明しています。

(1)米国籍者の場合、受給資格さえあれば米国外に滞在していても米国年金を支払います。(原則、米国籍でないと年金は支給されません)但し、あなたが次の国の国民であるなら、米国外にどれだけ滞在しようと、受給資格さえあれば米国年金は引き続き支払われます。(例外対象国)日本、オーストリア、イスラエル、フランス、韓国等21カ国

(2)あなたが米国籍者でなく、日本、フランス、メキシコ、ブラジル等77カ国の国民である場合、6か月以上米国外に滞在した場合、次の例外国を除き、米国年金の支払いは米国を離れた6か月後にストップします。(例外国)現在、米国が社会保障協定を締結している国 日本、オーストラリア、フランス、韓国等21カ国。 以上から、日本国籍者は米国外に住んでいても米国年金の受給資格さえあれば、年金を受給できるということです。(因みに、イスラエルは(1)の例外対象国ですが、(2)の例外国ではありません。)そして年金受給者の当惑は、SSオフィスの担当者がこの例外規定を理解しないまま対応した結果ということです。老後の生活の基盤である年金の制度については、正しい理解のもとに対応してもらいたいものです。

市川俊治 海外年金相談センター(http://nenkinichikawa.org/)
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